請求書の書き方ガイド
記載項目・作成手順・注意点を解説
この記事の要点
- 請求書の発行自体に法的義務はないが、仕入税額控除には適格請求書の保存が要る
- 適格請求書の要件は6つ。登録番号と税率ごとの消費税額の記載が最も抜けやすい
- 消費税の端数処理は1枚につき税率ごとに1回。品目ごとの積み上げは認められない
1. 請求書の役割と保存期間
請求書は、商品やサービスを提供した側が対価の支払いを求める書類です。取引内容・金額・支払期限・振込先を示し、支払いを正式に依頼します。
同時に、取引の実態を示す証拠書類でもあります。税務調査での立証、売掛金の管理、入金の消込は、いずれもこの1枚を起点に進みます。
発行そのものは法律で義務づけられていません。ただし消費税の仕入税額控除を受けるには適格請求書の保存が必要なため、実務上は発行しない選択肢がありません。
見積書
金額と条件を提示
注文書・注文請書
発注と受注を確定
納品書
引渡しを記録
請求書
対価の支払いを求める
領収書
支払いを証明
請求書は納品の後、入金の前に置かれます。前工程の見積書や納品書と金額・品名が食い違うと、先方は突合できず差し戻しになります。
| 区分 | 保存期間 | 起算日 |
|---|---|---|
| 法人 | 7年間 | 確定申告書の提出期限の翌日 |
| 個人事業主(白色申告) | 5年間 | 確定申告書の提出期限の翌日 |
| 個人事業主(青色申告) | 7年間 | 確定申告書の提出期限の翌日 |
電子データで発行・受領した請求書は、電子帳簿保存法に沿って電子のまま保存します。詳しくは電子帳簿保存法の解説を参照してください。
2. どこに何を書くか
請求書に法定の様式はありません。慣行として定着している8つの要素を、実際の出力例で位置ごとに確認します。
- 1
書類名
「請求書」と明記します。英文併記は「Invoice」。
- 2
発行日・支払期限
支払期限は「2026年7月31日」と日付で書きます。「翌月末」は起算日の解釈が分かれます。
- 3
請求書番号
一意な番号。「INV-YYYYMM-NNNN」のような統一体系を決め、欠番なく採番します。
- 4
請求元と登録番号
名称・住所・連絡先に加え、適格請求書発行事業者の登録番号を置きます。
- 5
請求先
正式名称で書きます。「(株)」の略記は避け、法人は「御中」、個人は「様」。
- 6
振込先口座
銀行名・支店名・種別・番号・名義。名義はカタカナ併記で入力ミスを防げます。
- 7
明細
品名・数量・単価・税率・金額。品名は第三者が内容を判断できる粒度まで分解します。
- 8
税率区分別の小計と合計
税率ごとの対象額と消費税額を分け、税込の合計を最も目立つ位置に置きます。
3. インボイス制度の記載要件
2023年10月に開始したインボイス制度では、仕入税額控除に適格請求書の保存が必要です。適格請求書として扱うには、次の6要件をすべて満たします。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称
- 登録番号(「T」+ 13桁。法人は法人番号と同一)
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率対象ならその旨)
- 税率ごとに区分した消費税額等および適用税率
- 交付を受ける事業者の氏名または名称
登録番号の正当性は国税庁の公表サイトで確認できます。制度の全体像はインボイス制度の解説にまとめました。
| 期間 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 仕入税額相当額の80% |
| 2026年10月1日〜2029年9月30日 | 仕入税額相当額の50% |
| 2029年10月1日以降 | 控除不可 |
4. 消費税と源泉徴収の書き方
消費税は標準税率10%と軽減税率8%があります。両方の品目が並ぶ請求書では、税率ごとに対象額と消費税額を分けて記載します。
軽減税率の対象品目には「※」等の記号を付け、欄外に「※は軽減税率対象」と注記するのが一般的な書き方です。
デザイン料・原稿料・講演料などの報酬は、支払側が源泉徴収を行います。請求書に源泉徴収税額と差引請求額まで書くと、入金額の食い違いが起きません。
- 報酬額(税抜)
- 300,000円
- 消費税(10%)
- 30,000円
- 源泉徴収税額(300,000円 × 10.21%)
- −30,630円
- 差引請求額
- 299,370円
源泉徴収の対象額は、報酬額と消費税額を区分して記載していれば税抜額で構いません。区分がなければ税込額が対象になり、手取りが減ります。
支払金額が100万円を超える部分の税率は20.42%です。全額に20.42%を掛けるのは誤りで、計算方法は源泉徴収税の計算方法で解説しています。
5. 送付前の確認と業種別の注意
送付前は次の6点を確認します。差し戻しの原因はほぼこの範囲に収まります。
- 請求先の会社名・部署名・担当者名が正式表記か
- 小計・消費税・合計に計算違いがないか
- 税率の区分(10%・8%)が正しいか
- 振込先の銀行名・支店名・種別・番号・名義が揃っているか
- 支払期限が取り決めと一致し、日付で書かれているか
- 登録番号が正しく記載されているか
| 業種 | 注意点 |
|---|---|
| IT・Web制作 | 「一式」ではなく設計・実装・テストのフェーズごとに分けて記載する |
| デザイン・ライティング | 源泉徴収税額と差引請求額を明記し、立替経費は報酬と分ける |
| 建設業 | 工事名・工事場所・工期・出来高を記載し、注文書の工事名と表記を揃える |
| 小売・飲食 | 軽減税率8%と標準税率10%を行ごとに区分し、税率別の消費税額を出す |
業種ごとの品目名や備考の書き方は業種別テンプレートにまとめています。記載項目を確認したら、そのまま請求書作成フォームで作成できます。登録は不要で、入力内容は端末内に保存されます。
EchoInvoiceでの請求書作成手順
請求書の必須記載項目を確認する
発行日・請求書番号・宛名・品目・金額・消費税額・登録番号など、インボイス制度で求められる記載項目を確認します。
発行元と請求先の情報を入力する
EchoInvoiceのフォームに自社情報と請求先情報を入力します。一度入力すると自動保存され、次回以降は再利用できます。
品目と金額を入力して消費税を自動計算する
品目・数量・単価を入力し、税率(10%・8%・0%)を選ぶと消費税額と合計金額が自動計算されます。
プレビューを確認してPDFを発行する
記載漏れや宛名の誤りがないかプレビューで確認し、PDFを出力して送付します。
一次情報の出典
参考情報と更新方針
最終確認日: 2026-04-12
税率や保存要件は改正されることがあるため、送付前に最新制度も確認してください。
参考にしている公的情報
- 国税庁 公式サイト - 税制・申告・保存要件の公式情報
- 適格請求書発行事業者公表サイト - 登録番号の確認に利用できる公式サイト
- e-Gov法令検索 - 法令の原文確認に利用できる公的データベース
EchoInvoiceはバナー広告なし・完全無料で運営しています。 法人・事業者向けのテンプレート・受託のご相談も承っています。
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