源泉徴収税の計算方法
対象報酬・税率・請求書への記載方法を解説
この記事の要点
- 源泉徴収は所得税の前払い。差し引かれた分は確定申告で精算される
- 対象は所得税法204条に列挙された報酬。プログラミングは原則として対象外
- 100万円超は超過部分だけ20.42%。全額に20.42%を掛けるのは誤り
1. 源泉徴収の仕組み
源泉徴収税は、報酬や給与の支払い時に支払者があらかじめ所得税を差し引いて国へ納付する制度です。正式には源泉所得税と呼びます。
受け取る側は、差し引かれた後の金額を受け取ります。請求額と入金額に差が生じるのはこのためで、その差額は確定申告で精算されます。
請求
受取者が報酬を請求
控除
支払者が税額を差し引く
入金
差引後の金額が振り込まれる
納付
支払者が翌月10日までに納付
精算
受取者が確定申告で精算
国にとっては税収を安定的に確保でき、納税者にとっては年末にまとめて納める負担が減ります。その代わり、支払者に源泉徴収義務が課されます。
2. 対象になる報酬・ならない報酬
すべての報酬が対象になるわけではありません。所得税法第204条に規定された特定の報酬・料金に限られます。
| 区分 | 該当する報酬 |
|---|---|
| 対象になる | 原稿料・講演料/弁護士・税理士など士業の報酬/デザイン料/翻訳料・通訳料/プロスポーツ選手・芸能人の報酬/外交員・集金人の報酬/ホステス等の報酬 |
| 対象にならない | 物品の販売代金/成果物納品型のIT開発/コンサルティング料(原則)/建設・工事の請負代金 |
注意が必要なのはITエンジニアです。プログラミングやシステム開発の報酬は原則として対象外ですが、業務内容によっては「デザイン料」と判断されることがあります。
Webサイトの見た目を含む制作業務では、デザイン部分が対象になる可能性があります。デザインと開発が混在する案件は、契約書で業務内容を区分しておくのが安全です。
3. 税率と計算方法
税率は支払金額で2段階に分かれます。100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%です。
10.21%は、所得税10%に復興特別所得税0.21%(10% × 2.1%)を加えたものです。この復興特別所得税は2037年12月31日まで適用されます。
- 支払金額
- 500,000円
- 源泉徴収税額(500,000 × 10.21%)
- −51,050円
- 差引支払額
- 448,950円
- 100万円以下の部分(1,000,000 × 10.21%)
- 102,100円
- 100万円を超える部分(500,000 × 20.42%)
- 102,100円
- 源泉徴収税額の合計
- −204,200円
- 差引支払額
- 1,295,800円
100万円超の計算式は「(支払金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円」です。102,100円は最初の100万円に対する税額にあたります。
全額へ20.42%を掛けるのは誤りです。150万円の例なら306,300円となり、10万円以上も多く差し引かれてしまいます。
4. 請求書への記載と確定申告
請求書には、報酬額(税抜)・消費税額・源泉徴収税額・差引請求額の4つを並べます。自分で計算して示しておくと、支払側の処理と食い違いません。
確定申告では、年間の所得税額から源泉徴収済みの税額を差し引いて納税額または還付額を出します。多くのフリーランスは還付になります。
源泉徴収税額の集計に使うのは、取引先から届く支払通知書や支払明細書です。支払調書の交付は義務ではないため、すべての取引先から届くとは限りません。
月別・取引先別に整理しておくと、申告時に慌てません。通帳の入金額と請求額の差を、書類で説明できる状態にしておくことが要点です。
支払う側の実務は業務委託料支払明細書のガイドにまとめています。源泉徴収税額を含む請求書は、そのまま請求書作成フォームで作成できます。
一次情報の出典
参考情報と更新方針
EchoInvoiceはバナー広告なし・完全無料で運営しています。 法人・事業者向けのテンプレート・受託のご相談も承っています。
続けて読む
