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インボイス制度とは?対応請求書の作り方と経過措置をわかりやすく解説

税務・制度の知識公開: 2026年3月22日執筆: EchoInvoice編集部

インボイス制度とは

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」です。2023年10月1日から開始されたこの制度は、消費税の仕入税額控除の仕組みを大きく変えるものです。

仕入税額控除とは、事業者が商品やサービスを仕入れる際に支払った消費税を、売上にかかる消費税から差し引くことができる仕組みです。この控除を受けるためには、従来は「区分記載請求書」を保存していれば足りましたが、インボイス制度の開始後は、「適格請求書(インボイス)」の保存が原則として必要になりました。

適格請求書を発行できるのは、税務署に登録を行い「適格請求書発行事業者」として認められた事業者に限られます。この登録は課税事業者のみが行うことができ、免税事業者は登録できません。つまり、インボイス制度の下では、取引先が適格請求書発行事業者であるかどうかが、仕入税額控除の可否に直結することになります。

ポイント: インボイス制度は「誰から仕入れたか」ではなく「適格請求書を受け取ったか」が仕入税額控除の判断基準になる制度です。

なぜインボイス制度が導入されたか

消費税の「益税」問題の解消

インボイス制度が導入された最大の背景は、消費税の「益税」問題です。益税とは、免税事業者が消費者から受け取った消費税相当額を、国に納付せずに手元に残してしまう現象を指します。

従来の制度では、課税事業者が免税事業者から仕入れを行った場合でも、仕入税額控除を受けることが可能でした。免税事業者は消費税の納税義務がないため、結果として消費税が「宙に浮く」状態が生じていました。インボイス制度は、適格請求書発行事業者からの仕入れにのみ控除を認めることで、この益税問題の解消を図っています。

複数税率への正確な対応

2019年10月に消費税率が10%に引き上げられた際、食料品や新聞などに対して軽減税率8%が導入されました。これにより、日本の消費税は標準税率10%軽減税率8%の複数税率制度になっています。

複数税率が存在する環境では、取引ごとの適用税率と税額を正確に把握することが不可欠です。適格請求書には税率ごとの合計額と消費税額の記載が義務づけられており、これにより取引の透明性が向上し、消費税の正確な計算・申告が可能になります。

適格請求書の6つの記載要件

適格請求書(インボイス)として認められるためには、以下の6つの記載事項をすべて満たす必要があります。1つでも欠けていると、受け取った側が仕入税額控除を行えなくなる可能性があるため、発行する側は細心の注意が必要です。

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

発行者の正式名称(法人名または個人事業主の氏名)と、税務署から付与された登録番号(T+13桁の数字)を記載します。登録番号は、取引先が国税庁の公表サイトで事業者情報を確認する際にも使用されます。

② 取引年月日

商品の引渡しやサービスの提供が行われた日付を記載します。請求書の発行日ではなく、実際に取引が行われた日付である必要があります。月まとめの請求書の場合は、対象となる期間を明記します。

③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)

提供した商品やサービスの具体的な内容を記載します。軽減税率(8%)が適用される品目については、その旨を明記する必要があります。一般的には「※」印を付して「※は軽減税率対象」と注記する方法がとられます。

④ 税率ごとに区分して合計した対価の額及び適用税率

標準税率(10%)と軽減税率(8%)それぞれについて、対象となる取引の合計金額(税抜又は税込)と適用税率を区分して表示します。例えば「10%対象: 100,000円」「8%対象: 50,000円」のように記載します。

⑤ 税率ごとに区分した消費税額等

税率ごとの消費税額を明記します。④の合計額と合わせて記載することで、税額が明確に伝わります。端数処理は1つのインボイスにつき税率ごとに1回のみ行い、切捨て・四捨五入・切上げのいずれかを適用します。

⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

請求書の宛先、すなわち取引先の正式名称を記載します。「上様」や空欄は適格請求書としては認められません。正確な法人名や個人名を記載してください。

注意: これら6要件は、区分記載請求書の記載事項に「登録番号」「適用税率」「税率ごとの消費税額」の3つが追加されたものです。既存の請求書フォーマットにこの3点を追加するだけで対応できるケースも多いため、まずは自社の帳票を確認してみましょう。

登録番号の取得方法

申請手続き

適格請求書発行事業者の登録を受けるには、所轄の税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出します。申請方法は以下の3つがあります。

  • e-Tax(電子申請): 国税電子申告・納税システムからオンラインで申請可能。最も迅速に処理されます。
  • 郵送: 管轄のインボイス登録センターに登録申請書を郵送します。
  • 税務署窓口: 所轄の税務署に直接持参して提出します。

申請から登録通知書の送付までの期間は、e-Taxの場合で概ね2週間〜1か月程度です。郵送の場合はさらに時間がかかることがあります。

登録番号の形式

登録番号は「T」+13桁の数字で構成されます。法人と個人事業主で番号の付与方法が異なります。

  • 法人の場合: 「T」+法人番号(13桁)。法人番号は国税庁法人番号公表サイトで公開されている番号と同一です。
  • 個人事業主の場合: 「T」+13桁のランダムな数字。マイナンバー(個人番号)とは異なる番号が新たに付与されます。

例: T1234567890123(法人の場合は法人番号がそのまま13桁部分に入ります)

登録の確認方法

取引先が適格請求書発行事業者として登録されているかどうかは、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できます。登録番号を入力すると、事業者名、登録年月日、法人の場合は本店所在地などが表示されます。

このサイトでは、Web-APIも公開されているため、会計ソフトやシステムから自動的に登録状況を確認することも可能です。取引開始時や定期的な確認に活用しましょう。

経過措置の詳細

インボイス制度への移行を円滑に進めるため、適格請求書発行事業者以外の者(免税事業者等)からの仕入れについても、一定期間は仕入税額相当額の一部を控除できる経過措置が設けられています。

経過措置の期間と控除割合

期間控除割合
2023年10月1日 〜 2026年9月30日仕入税額相当額の 80%
2026年10月1日 〜 2029年9月30日仕入税額相当額の 50%
2029年10月1日以降控除不可(全額が控除対象外)

つまり、2023年10月1日から3年間は仕入税額の80%を、その後の3年間は50%を控除できますが、2029年10月1日以降は適格請求書がなければ一切の仕入税額控除が認められなくなります。段階的に控除割合が引き下げられるため、免税事業者との取引がある場合は、計画的に対応を進める必要があります。

経過措置を受けるための要件

経過措置の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 区分記載請求書等と同様の記載事項がある請求書等の保存
  2. 帳簿に「経過措置の適用を受ける旨」の記載

注意: 帳簿に経過措置の適用を受ける旨(例:「80%控除対象」)を記載しなければ、経過措置の適用は認められません。記帳漏れに注意してください。

免税事業者への影響

インボイス制度の導入により、免税事業者は大きな影響を受けています。適格請求書を発行できない免税事業者との取引では、買い手側が仕入税額控除を受けられなくなるため、取引条件の見直しや取引自体の減少が懸念されるためです。

課税事業者への転換の判断基準

免税事業者が適格請求書発行事業者として登録するためには、課税事業者になる必要があります。以下のような点を総合的に考慮して判断しましょう。

  • 取引先の状況: 主な取引先が課税事業者(法人等)であれば、適格請求書の発行を求められる可能性が高い
  • 消費税の負担額: 課税事業者になると消費税の申告・納付義務が生じる。売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を差し引いた金額が納税額になる
  • 事務負担: 消費税の申告書作成、帳簿の記帳、適格請求書の発行・保存など、事務作業が増加する
  • 取引先との関係: 免税事業者のままでも取引を続けてもらえるか、価格交渉の余地があるか

2割特例(小規模事業者に対する納税額の特例)

インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者となった小規模事業者の負担を軽減するため、「2割特例」が設けられています。これは、納付する消費税額を売上にかかる消費税額の2割とすることができる特例措置です。

2割特例を利用すると、仕入税額の実額計算や簡易課税制度の届出が不要で、申告時に2割特例を選択するだけで適用できます。事前の届出は必要ありません。

2割特例の適用期間: 2023年10月1日〜2026年9月30日を含む課税期間まで適用可能です。個人事業主の場合、2026年分(2026年1月1日〜12月31日)の申告まで利用できます。

2割特例の対象者は、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった方です。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者や、資本金1,000万円以上の新設法人など、インボイス制度と関係なく課税事業者となる方は対象外です。

具体例: 年間売上500万円(税込550万円)のフリーランスの場合、売上にかかる消費税50万円の2割、つまり10万円が納付税額となります。実際の仕入れがほとんどないサービス業の方にとっては、簡易課税制度よりも有利になるケースが多いです。

適格簡易請求書(簡易インボイス)

不特定多数の者に対して販売やサービスを行う一定の事業者は、適格請求書に代えて「適格簡易請求書」(簡易インボイス)を交付することができます。レシートや領収書など、日常的に大量に発行される書類に対応するための簡略化された形式です。

対象業種

適格簡易請求書を交付できるのは、以下のような不特定多数の者に資産の譲渡等を行う事業者です。

  • 小売業
  • 飲食店業
  • 写真業
  • 旅行業
  • タクシー業
  • 駐車場業(不特定多数の者に対するもの)
  • その他これらの事業に準ずる事業で不特定多数の者に対して行うもの

通常の適格請求書との違い

適格簡易請求書と適格請求書の主な違いは以下の点です。

記載事項適格請求書適格簡易請求書
① 発行事業者の名称・登録番号必須必須
② 取引年月日必須必須
③ 取引内容必須必須
④ 税率ごとの合計額・適用税率必須必須
⑤ 税率ごとの消費税額等必須④と⑤はどちらか一方でOK
⑥ 書類の交付を受ける事業者の名称必須不要

最大の違いは、「⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要であることです。不特定多数の顧客にいちいち名前を確認して記載することは現実的でないため、この要件が緩和されています。また、⑤の税率ごとの消費税額等については、④の適用税率の記載があれば省略可能です。

EchoInvoiceでのインボイス対応

EchoInvoiceは、インボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応した帳票を作成できます。適格請求書の6つの記載要件を満たすためのフォーム設計がされており、入力漏れを防ぎながらスムーズに帳票を作成できます。

登録番号の入力欄

発行者情報(差出人情報)に「登録番号」の入力欄を設けています。T+13桁の登録番号を入力すると、プレビューおよびPDF出力に自動的に反映されます。一度入力した情報はブラウザに保存されるため、次回以降の帳票作成時に再入力する手間がありません。

税率区分の自動計算

明細項目ごとに税率(10%・8%)を選択でき、税率ごとの小計と消費税額が自動的に計算・表示されます。これにより、適格請求書の記載要件④(税率ごとの合計額・適用税率)と⑤(税率ごとの消費税額)を正確に満たすことができます。

対応帳票一覧

以下の9種類の帳票でインボイス対応の書類を作成できます。

すべての帳票で登録番号の記載、税率区分ごとの自動計算、4種類のデザインテンプレート、PDF出力に対応しています。登録不要・完全無料で利用でき、データはすべてブラウザ内に保存されるため、個人情報がサーバーに送信されることはありません。

インボイス対応の請求書を今すぐ作成

EchoInvoiceは適格請求書の記載要件に対応。登録番号・税率区分・消費税額の記載もかんたんです。

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