仕切書の書き方ガイド
請求書との違い・差引精算額・インボイス制度での扱い
この記事の要点
- 仕切書は「売った側」ではなく「売ってあげた側」が出す。請求書と向きが逆
- 本体は差引精算額。販売額から手数料と諸経費を引いた残りが支払う額
- 控除項目は名目と金額を1行ずつ分ける。まとめると必ず問い合わせが来る
1. 仕切書とは何か
仕切書は、販売を代行した側が委託した側へ「いくらで売れて、いくら差し引いて、いくら払うか」を報告する書類です。仕切精算書とも呼ばれます。
使われるのは委託販売の現場です。生産者が卸や販売代理店へ商品を預け、売れた分だけ精算する取引を思い浮かべてください。商品の所有者は預けた側のままで、売った側は手数料を取ります。
青果や水産の卸売市場、書籍の取次、美術品の委託、農産物の直売所などが典型です。ネット販売の代行やハンドメイド作品の委託でも同じ形の書類が使われます。
この向きを取り違えると、同じ取引に請求書と仕切書が二重に出て、どちらの金額が正しいのか分からなくなります。書き始める前に、自分が受託者と委託者のどちらかを確かめてください。
2. 請求書・委託販売計算書との違い
仕切書と紛らわしい書類が 2 つあります。請求書と委託販売計算書です。3 つの違いは「誰が誰へ出すか」と「金額の向き」で整理できます。
| 書類 | 発行する側 | 金額の向き |
|---|---|---|
| 仕切書 | 販売を代行した側(受託者) | 控除して支払う(差引精算額) |
| 請求書 | 商品・役務を提供した側 | 請求する(支払を求める) |
| 委託販売計算書 | 販売を代行した側(受託者) | 控除して支払う(同じ向き) |
仕切書と委託販売計算書は向きも中身もほぼ同じで、業界によって呼び名が違うだけと考えて構いません。市場や製造の商流では仕切書、書籍や雑貨の委託では計算書という呼び方が定着しています。
取引先が様式名を指定してくるなら、その名前に合わせるのが確実です。EchoInvoice では仕切書と委託販売計算書を別の様式として用意しています。
書類全体の使い分けは帳票の比較ガイドにまとめています。
3. どこに何を書くか
法定の様式はありません。ただし「何が売れたか」「何を引いたか」「いくら払うか」の 3 点が追えないと、受け取った側は自分の売上を確定できません。実際の出力例で確認します。
- 1
書類名
「仕切書」と明示します。取引先が仕切精算書と呼んでいるならその表記に合わせます。
- 2
発行日・番号
対象期間の締め日ではなく、書類を作った日を発行日にします。番号は控えと突き合わせる手がかりになります。
- 3
参照番号
委託販売契約の番号や、対象月の識別子を入れます。複数契約が並行する相手ほど効きます。
- 4
発行元(受託者)
販売を代行した側です。登録番号を載せておくと、後述の仕入明細書としての要件を満たしやすくなります。
- 5
宛先(委託者)
商品を預けた側です。相手の登録番号も控える運用にしておくと、消費税の処理で迷いません。
- 6
販売明細
売れた品目・数量・単価・税率を並べます。「委託販売分」と付記すると自社在庫の販売と区別できます。
- 7
控除項目
販売手数料・運送費・保管料などを 1 行ずつ分けます。率で決まる項目は率も書きます。
- 8
差引精算額
この書類の結論です。実際に振り込む金額と一致させ、端数処理の結果もそのまま載せます。
4. 差引精算額の組み立て方
差引精算額は、販売額の合計から控除項目を引いた残りです。順番は「販売額を確定する」「控除を積む」「引く」の 3 段だけで、途中で税率を混ぜないことが要点になります。
- 販売額合計(税抜)
- 364,000 円
- 消費税(10%)
- 36,400 円
- 販売額合計(税込)
- 400,400 円
- 販売手数料(税込販売額の10%)
- -40,040 円
- 運送費
- -8,800 円
- 差引精算額
- 351,560 円
手数料の率を税抜と税込のどちらに掛けるかは契約で決まります。契約書に書いていないなら、最初の仕切書を出す前に相手と合わせてください。後から変えると過去分の再計算が必要になります。
5. インボイス制度での扱い
委託販売では、書類を出す側と仕入税額控除を受ける側が入れ替わります。仕切書がその役割を担うため、記載事項を落とすと相手または自社の控除が受けられなくなります。
受託者から見ると、委託者からの仕入れにあたる部分があります。買い手が作る書類(仕入明細書)は、相手の確認を受けたものであれば仕入税額控除の証憑として使えます。
そのため仕切書には、委託者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した合計額と適用税率、税率ごとの消費税額を載せておくのが安全です。
もう一つ、購入者へ渡す請求書の側にも論点があります。受託者が自分の名前で適格請求書を交付できる特例(媒介者交付特例)があり、適用には委託者と受託者の双方が登録事業者であることなどの条件があります。
制度そのものの解説はインボイス制度のガイドにまとめています。
6. 発行から支払までの流れ
仕切書は単発ではなく、締めから支払までの決まった周期で回ります。工程を固定しておくと、月末に金額を数え直す作業が消えます。
締め
対象期間の販売実績を確定する
控除の集計
手数料・運送費・保管料を名目ごとに積む
仕切書の発行
販売明細と控除、差引精算額を記載して送る
委託者の確認
内容の相違がないかを返信で確認してもらう
支払
差引精算額を振り込み、控えを保存する
4 番目の確認を省かないでください。仕入明細書として扱う場合、相手の確認を受けたことが要件になります。返信のメールを控えと一緒に残しておくと後から示せます。
7. 差し戻しが起きやすい点
仕切書で問い合わせが来る原因はほぼ決まっています。金額そのものより、金額の出どころが読めないことが理由です。
| 起きること | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 入金額が合わないと言われる | 差引精算額と振込額がずれている | 振込手数料の負担者を契約で決め、控除項目として明示する |
| 手数料の根拠を聞かれる | 率か固定額かが書類から読めない | 「販売手数料(10%)」のように率を名目へ入れる |
| 売上計上の月がずれる | 締め日と発行日を同じものとして扱っている | 対象期間を備考へ書き、発行日と分けて示す |
| 返品分の扱いで揉める | 返品を控除項目へ混ぜている | 販売明細側でマイナス行にするか、対象期間を明記して分ける |
返品が絡む取引では、返品書やクレジットノートを併用したほうが履歴を追えます。詳しくはクレジットノートのガイドを参照してください。
仕切書は仕切書の作成フォームから作成できます。販売明細と控除項目を入れると差引精算額が自動で計算され、そのまま PDF として出力できます。
一次情報の出典
参考情報と更新方針
最終確認日: 2026-09-11
委託販売の消費税の扱い(総額処理と純額処理、媒介者交付特例の適用可否)は契約の形と当事者の登録状況で変わります。処理方法を決める前に税理士または所轄の税務署へご確認ください。
参考にしている公的情報
- 国税庁 公式サイト - 税制・申告・保存要件の公式情報
- 適格請求書発行事業者公表サイト - 登録番号の確認に利用できる公式サイト
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