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領収書の書き方ガイド収入印紙・但し書き・電子発行の注意点

帳票の書き方ガイド公開: 2026年3月22日執筆: EchoInvoice編集部

1. 領収書とは

領収書とは、金銭の受取りがあった事実を証明するために、受取人が支払人に対して発行する書類です。民法第486条では「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる」と定められており、支払人には領収書を請求する法的な権利があります。

ビジネスにおいて領収書は、単なる受取りの証明にとどまらず、以下の重要な役割を果たしています。

  • 支払いの証拠: 二重請求や支払い漏れの防止に不可欠
  • 経費の証憑書類: 法人税・所得税の確定申告における経費計上の裏付け
  • 会計処理の根拠: 仕訳帳への記帳と帳簿の整合性を担保
  • 税務調査への備え: 法定保存期間(原則7年)の保管が義務

領収書は印紙税法上の「第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)」に分類されます。そのため、紙で発行する場合は記載金額に応じた収入印紙の貼付が必要になる場合があります。この点は後述の「収入印紙の要否と金額」セクションで詳しく解説します。

ポイント

領収書は「お金を受け取った側」が発行する書類です。請求書は「お金を請求する側」が発行するため、両者は発行者が異なります。領収書と請求書を混同しないよう注意しましょう。

2. 領収書の必須記載項目

法的に有効な領収書を作成するためには、以下の項目を漏れなく記載する必要があります。一つでも欠けると、税務調査で経費として認められないリスクがあります。

(1) 書類名(「領収書」の表記)

書類の冒頭に「領収書」と明記します。「受領書」「受取書」でも法的には有効ですが、取引の性質を明確にするため「領収書」と記載するのが一般的です。なお、レシートも領収書として認められるケースがありますが、宛名が記載されていないため、企業間取引では正式な領収書の発行を求められることが多いでしょう。

(2) 領収書番号

法律上の必須項目ではありませんが、管理・追跡のために領収書番号を付番することを強く推奨します。連番にしておけば、二重発行の防止や税務調査時の照合がスムーズになります。企業によっては「R-2026-001」のように年度と連番を組み合わせた形式を採用しています。

(3) 発行日

金銭を実際に受け取った日付を記載します。売掛金の入金であれば入金確認日、現金払いであれば受領日を記載します。和暦・西暦のどちらでも構いませんが、社内で統一しておくと管理しやすくなります。日付の改ざんは文書偽造にあたるため、正確な日付を記入してください。

(4) 宛名

支払いを行った人物または法人の正式名称を記載します。法人であれば「株式会社○○」のように正式名称を、個人であれば氏名を記載します。

注意: 「上様」は避けましょう

宛名を「上様(うえさま)」とすることは実務上よく見られますが、税務上は問題となる可能性があります。税務調査では「上様」宛の領収書は支払いの実在性が疑われ、経費として否認されるリスクがあります。消費税法上も、仕入税額控除を受けるには「書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称」の記載が必要とされています(消費税法第30条第9項)。必ず正式な宛名を記載するようにしましょう。

(5) 金額

受領した金額を明確に記載します。金額の改ざんを防止するため、以下のいずれかの形式で記載することが推奨されています。

  • 金額の前に「¥」または「金」をつける(例: ¥110,000- / 金110,000円也)
  • 金額の後に「-」(ハイフン)または「也」をつける
  • 3桁ごとにカンマで区切る

また、消費税の内訳として、税抜金額と消費税額を分けて記載することが望ましいです。インボイス制度対応の観点からも、税率ごとの消費税額を明記する必要があるため、「税抜金額 100,000円 / 消費税 10,000円 / 合計 110,000円」のように記載しましょう。

(6) 但し書き

何に対する支払いであるかを記載する項目です。但し書きの具体的な書き方については、後述の「但し書きの正しい書き方」セクションで詳しく解説します。

(7) 発行者情報

金銭を受け取った側(領収書の発行者)の情報を記載します。具体的には以下の項目です。

  • 会社名(個人事業主の場合は屋号または氏名)
  • 住所
  • 電話番号
  • 担当者名(必要に応じて)
  • インボイス登録番号(適格請求書発行事業者の場合)

社印(角印)の押印は法律上の必須要件ではありませんが、書類の信頼性を高めるために押印するのが一般的な商慣習です。電子発行の場合は電子印鑑を利用するか、押印を省略することもあります。

3. 収入印紙の要否と金額

紙で発行する領収書は、印紙税法における「第17号の1文書」に該当し、記載金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。貼付後は必ず消印(割印)を行ってください。以下に主要な税額区分を示します。

記載金額印紙税額
5万円未満非課税(不要)
5万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下600円
300万円超 500万円以下1,000円
500万円超 1,000万円以下2,000円
1,000万円超 2,000万円以下4,000円
2,000万円超 3,000万円以下6,000円
3,000万円超 5,000万円以下10,000円
5,000万円超 1億円以下20,000円
1億円超 2億円以下40,000円
2億円超 3億円以下60,000円
3億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下150,000円
10億円超200,000円
金額の記載のないもの200円

なお、消費税額が明確に区分記載されている場合、印紙税の判定は税抜金額で行います。例えば、税込金額が52,800円(税抜48,000円 + 消費税4,800円)の場合、消費税額を明記していれば税抜48,000円が判定基準となり、5万円未満のため非課税(収入印紙不要)となります。この取扱いを活用するためにも、領収書には消費税額を区分して記載することをおすすめします。

営業に関しない領収書は非課税

印紙税法上、「営業に関しない受取書」は非課税です。具体的には、個人が営業目的でなく発行する受取書(例: 不動産の個人間売買における受取書)や、公益法人等が発行する受取書が該当します。ただし、個人事業主が事業として発行する領収書は「営業に関する受取書」に該当するため、印紙税の対象となります。

重要: 電子領収書(PDF等)は印紙税が非課税です

印紙税法は「文書」に対して課税される制度であり、ここでいう「文書」とは紙の原本を指します。PDFファイルやメールなどの電子データは印紙税法上の「文書」に該当しないため、電子的に発行する領収書には収入印紙を貼付する必要がありません。これは国税庁が公式に示している見解です(国税庁「請求書等の電磁的記録による提供」)。そのため、領収書をPDFで発行・メール送付することは、印紙税の節約にもつながる合理的な選択肢といえます。

収入印紙の貼り忘れ・消印忘れのリスク

収入印紙の貼付が必要な領収書に印紙を貼らなかった場合、印紙税法の過怠税として本来の印紙税額の3倍(自己申告の場合は1.1倍)が課されます。また、収入印紙を貼っても消印を忘れた場合は、消印されていない印紙の額面と同額の過怠税が課されます。ただし、収入印紙の貼り忘れは税務上の問題であり、領収書自体の法的有効性には影響しません。

4. 但し書きの正しい書き方

但し書き(ただしがき)は、領収書において何に対する支払いであるかを示す重要な項目です。「但し、○○として」という形式で記載します。但し書きが曖昧だと、経費の勘定科目が判断できず、税務調査で問題になる可能性があります。

「お品代」は避けるべき理由

但し書きに「お品代」「商品代」とだけ書かれた領収書は、税務上以下のリスクがあります。

  • 経費の勘定科目が不明: 何を購入したのか分からず、適切な科目への計上ができない
  • 事業関連性が証明できない: 税務調査時に「事業に関係する支出」であることを証明しにくい
  • 経費否認のリスク: 内容が不明確な領収書は、税務署から経費として認められない可能性がある
  • 軽減税率の判定不能: 飲食料品(8%)と一般商品(10%)の区別がつかない

具体的な但し書きの例

但し書きには、取引内容が第三者にも分かるよう具体的に記載しましょう。以下に業種・場面別の記載例を示します。

  • 飲食費: 「但し、飲食代(会議費)として」「但し、接待飲食代として」
  • 交通費: 「但し、タクシー代として」「但し、宿泊代として」
  • 物品購入: 「但し、事務用品代として」「但し、パソコン周辺機器代として」
  • サービス: 「但し、Webサイト制作費として」「但し、コンサルティング料として」
  • 工事・修繕: 「但し、事務所内装工事代として」「但し、空調設備修繕費として」
  • 会費・参加費: 「但し、○○セミナー参加費として」「但し、年会費として」

経費計上のポイント

但し書きの内容は、会計処理の勘定科目と直結します。例えば「飲食代」でも、取引先との会食なら「交際費」、社内会議中の弁当なら「会議費」、従業員の慰労なら「福利厚生費」と、科目が異なります。但し書きに目的を補足することで、経理担当者が正しい科目で処理しやすくなります。

複数商品がある場合の但し書き

複数の商品やサービスが含まれる場合は、主要なものを記載した上で「他」と付記するのが一般的です。例えば「但し、ノートパソコン他 事務用品代として」のように記載します。ただし、金額が大きい場合や、科目が異なる商品が混在する場合は、可能であれば品目ごとに領収書を分けて発行することを検討しましょう。

5. 電子領収書(PDF発行)の注意点

近年、領収書をPDFファイルとして電子的に発行するケースが増えています。電子領収書は紙の領収書と同等の法的有効性を持ちますが、電子帳簿保存法に基づく保存要件に注意が必要です。

電子領収書の法的有効性

PDFやメールで発行された領収書は、法的に有効な証憑書類として認められています。前述のとおり、電子データは印紙税法上の「文書」に該当しないため、収入印紙の貼付は不要です。これは金額の多寡にかかわらず適用されるため、高額の領収書ほど電子発行のメリットが大きいといえます。

電子帳簿保存法との関連

2024年1月から、電子取引データの電子保存が完全義務化されました。これにより、PDFやメールで受領した電子領収書は、原則として電子データのまま保存する必要があります(紙に印刷して保存する方法は認められなくなりました)。

電子保存の要件として、以下の条件を満たす必要があります。

  • 真実性の確保: タイムスタンプの付与、または訂正・削除の履歴が確認できるシステムの利用
  • 検索性の確保: 取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態での保存
  • 見読性の確保: ディスプレイ等で速やかに閲覧・出力できること

注意: 電子データの保存義務

メールやクラウドサービスで受け取った電子領収書を紙に印刷して保存し、電子データを削除することは電子帳簿保存法に違反する可能性があります。電子で受け取った取引書類は、必ず電子データのまま保存してください。ただし、基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者等には、検索要件が不要となる緩和措置があります。

メール送付時のポイント

電子領収書をメールで送付する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • 送付日を記録: いつ送付したかの記録を残す(メールの送信履歴)
  • PDFの改ざん防止: 可能であればPDFにパスワード保護を設定する
  • ファイル名の命名規則: 「領収書_20260322_株式会社○○.pdf」のように、日付と取引先が分かる命名にすると管理しやすい
  • 送付先の確認: 個人情報や取引内容を含むため、送信先を必ず確認する

6. 領収書の再発行

領収書の再発行は、取引先から依頼されることがあります。紛失や汚損などの理由が一般的ですが、再発行には二重発行のリスクが伴うため、慎重に対応する必要があります。

二重発行のリスク

領収書が二重に存在すると、同一の支払いに対して2枚の領収書が使われ、経費の二重計上に悪用されるリスクがあります。これは脱税行為にあたる可能性があり、発行者側にも共犯として責任が問われる場合があります。

再発行時の対応方法

領収書を再発行する場合は、以下のルールを守りましょう。

  • 「再発行」の明記: 領収書に「再発行」と赤字で明記するか、スタンプを押す
  • 再発行日の記載: 発行日は再発行日とし、備考欄に元の発行日を記載する
  • 再発行理由の確認: なぜ再発行が必要なのか、依頼者に理由を確認・記録する
  • 元の領収書の回収: 可能であれば、紛失以外の場合は元の領収書を回収して廃棄する
  • 再発行記録の保管: いつ、誰に、なぜ再発行したかの記録を社内で保管する

再発行と収入印紙

再発行した紙の領収書にも、通常の領収書と同様に収入印紙の貼付が必要です。再発行だからといって非課税になるわけではありません。一方、再発行をPDFで行えば印紙税は不要です。再発行のコスト削減という意味でも、電子発行は有効な手段です。

控えの保管の重要性

領収書は発行者側も控え(写し)を保管しておくことが重要です。法人の場合は法人税法により、個人事業主の場合は所得税法により、帳簿書類の保存期間は原則7年と定められています。控えがあれば、再発行の依頼時に元の領収書の内容を正確に確認でき、不正な再発行依頼を防ぐことにもつながります。

7. インボイス制度と領収書

2023年10月に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、領収書の記載内容にも大きな影響を与えています。仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)の要件を満たした書類が必要です。

適格簡易請求書(簡易インボイス)とは

インボイス制度では、一定の業種に限り、通常のインボイス(適格請求書)よりも記載要件が簡略化された「適格簡易請求書(簡易インボイス)」の発行が認められています。レシートや領収書が簡易インボイスとして利用されるケースが多くあります。

簡易インボイスを発行できるのは、以下の業種です。

  • 小売業
  • 飲食店業
  • 写真業
  • 旅行業
  • タクシー業
  • 駐車場業(不特定多数に対するもの)
  • その他、不特定多数の者に対して資産の譲渡等を行う事業

簡易インボイスの記載要件

通常のインボイスと簡易インボイスの主な違いは以下のとおりです。

  • 宛名が不要: 通常のインボイスでは「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」が必須ですが、簡易インボイスでは省略できます
  • 税額または税率の記載: 通常のインボイスでは「税率ごとの消費税額」の記載が必須ですが、簡易インボイスでは「税率ごとの消費税額」または「適用税率」のいずれかの記載で足ります

簡易インボイスとして有効な領収書に必要な記載項目は以下のとおりです。

  • 適格請求書発行事業者の氏名又は名称
  • 登録番号(T + 13桁の数字)
  • 取引年月日
  • 取引の内容(軽減税率の対象である場合はその旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税込又は税抜)
  • 税率ごとの消費税額又は適用税率

領収書をインボイスとして機能させるには

企業間取引で発行する領収書を適格請求書(インボイス)として機能させたい場合は、上記の簡易インボイスの要件に加え、以下の点を確認しましょう。

  • 適格請求書発行事業者の登録を済ませ、登録番号を領収書に記載する
  • 消費税額を税率ごとに区分して記載する(10%対象と8%対象を分ける)
  • 簡易インボイス対象業種でない場合は、宛名の記載が必要

注意: 免税事業者の領収書

免税事業者(適格請求書発行事業者の登録をしていない事業者)が発行する領収書では、受け取った側が仕入税額控除を受けることができません。ただし、経過措置として2026年9月30日までは仕入税額の80%、2029年9月30日までは50%の控除が認められています。免税事業者との取引がある場合は、経過措置の期限に注意してください。

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