支払通知書の書き方ガイド
振込手数料・差引計算・送付タイミング
この記事の要点
- 支払通知書は支払う側が発行し、請求額と入金額が違う理由を伝える書類
- 振込手数料は民法上は支払う側の負担が原則。差し引くには事前の合意が要る
- 源泉徴収の計算基礎は税抜額。控除は源泉徴収税、振込手数料の順に引く
1. 支払通知書の役割
支払通知書は、代金を支払った側が受取人へ、支払いの完了または予定を通知する書類です。英語では Payment Advice、Remittance Advice と呼ばれます。
請求書への「回答」にあたります。請求された金額に対して、実際にいくら・いつ・どう支払ったかを文書で示すことで、双方の経理処理が噛み合います。
効果は4つです。控除がある場合の入金内容の明示、売掛金の消込の効率化、複数請求を一括払いしたときの認識ずれの防止、そして取引先との信頼維持。
| 項目 | 支払通知書 | 支払調書 |
|---|---|---|
| 提出先 | 取引先(受取人) | 税務署 |
| 法的義務 | なし(任意) | あり(法定調書) |
| 作成のタイミング | 支払いの都度 | 原則として翌年1月31日まで |
| 受取人への交付 | 送付するのが目的 | 交付義務はない |
2. どこに何を書くか
法定の様式はありません。受取人が入金内容を検算できることが基準です。実際の出力例で位置ごとに確認します。
- 1
書類名
「支払通知書」と明記します。丁寧に「お支払通知書」とする場合もあります。
- 2
支払日・支払方法
銀行振込・手形・現金の別と、実際に支払う(支払った)日を書きます。
- 3
支払通知番号
管理用の一意な番号。請求書番号と対応づけて採番すると照合が容易です。
- 4
参照請求書番号
どの請求に対する支払いかを示します。複数まとめるなら各番号と金額を並べます。
- 5
支払元
自社の名称・住所・経理担当者の連絡先。問い合わせ先として機能させます。
- 6
支払先
受取人の正式名称。法人は「御中」、個人は「様」を使います。
- 7
振込元口座情報
銀行名・支店名・口座情報。受取人が複数の入金から特定する手がかりになります。
- 8
明細と控除
請求金額、源泉徴収税額、振込手数料、差引支払額を分けて示します。
3. 振込手数料の扱い
民法第485条は「弁済の費用は、別段の意思表示がないときは、債務者の負担とする」と定めます。つまり原則は支払う側の負担です。
実務では受取側負担の商慣習も残ります。どちらにするかは取引開始時に、発注書や基本取引契約書へ書面で明記しておくのが確実です。
受取側負担で差し引くときは、控除額を必ず明示します。金額だけが減っていると、受取人は入金不足として問い合わせざるを得ません。
4. 差引支払額の計算
原稿料・デザイン料・講演料や弁護士・税理士等への報酬は、支払う側に源泉徴収義務があります。税率は100万円以下が10.21%、超過部分が20.42%です。
- 報酬額(税抜)
- 500,000円
- 消費税(10%)
- 50,000円
- 源泉徴収税額(500,000円 × 10.21%)
- −51,050円
- 振込手数料
- −440円
- 差引支払額
- 498,510円
源泉徴収の計算基礎は原則として税抜額です。請求書で消費税額が区分されていれば税抜額に、区分されていなければ税込額に税率を掛けます。
控除の順序は、請求金額から源泉徴収税額を引き、そのあとに振込手数料を引きます。手数料を引いた後の金額から源泉徴収するのは誤りです。
複数の請求書をまとめて支払うときは、請求書ごとの内訳を並べます。受取人が請求単位で消込でき、未払いの見落としも防げます。
- INV-2026-001
- 110,000円
- INV-2026-005
- 220,000円
- INV-2026-008
- 165,000円
- 源泉徴収税額の合計
- −45,945円
- 振込手数料
- −440円
- 差引支払額
- 448,615円
源泉徴収の対象判定や税率の詳細は源泉徴収税の計算方法にまとめています。外注費に特化した明細を出すなら業務委託料支払明細書のガイドも参照してください。
5. 送付のタイミングと方法
| タイミング | 向いている場面 | 留意点 |
|---|---|---|
| 支払日の数日前 | 源泉徴収や手数料の控除がある取引 | 金額に誤りがあれば支払い前に修正できる |
| 支払日の当日 | 控除がなく金額が請求どおりの取引 | 入金確認より通知が遅れると不明入金として扱われる |
請求額と支払額に差があるなら、事前送付が向いています。受取人が理由を理解した状態で入金を待てるため、問い合わせが発生しません。
送付はPDFのメール添付が主流です。到着が速く、送受信記録が証跡になり、電子データとして後から検索でき、印刷や郵送の費用もかかりません。
件名は「支払通知書送付のご連絡(〇月分)」のように内容が一目で分かる形にし、本文へ支払金額の概要とPDF添付の旨を書き添えます。
6. 受け取った側の扱い
フリーランスや個人事業主が受け取った支払通知書は保管します。法定の保存義務はありませんが、確定申告の実務で効きます。
用途は4つです。源泉徴収税額の確認資料、売上の計上漏れのチェック、入金額と請求額の差異の根拠、税務調査での取引実態の補足。
確定申告では、年間の所得税額から源泉徴収済みの税額を差し引いて納税額または還付額を出します。集計がずれると納めすぎたまま終わります。
支払調書の交付は義務ではないため、すべての取引先から届くとは限りません。手元に残る支払通知書を月別・取引先別に整理しておくのが現実的な備えです。
電子で受け取った支払通知書は、電子帳簿保存法に沿って電子のまま保存します。詳細は電子帳簿保存法の解説を参照してください。
EchoInvoiceでの支払通知書作成手順
支払通知書に必要な項目を確認する
参照する請求書番号・支払金額・支払方法・振込元情報・振込手数料の負担者など、支払内容を正確に伝えるための記載項目を確認します。
支払元と受取先の情報を入力する
EchoInvoiceのフォームに自社(支払元)と取引先(受取先)の情報を入力します。一度入力すると自動保存され、次回以降は再利用できます。
参照請求書と支払金額を入力し、差引計算を反映する
対象の請求書番号と支払金額を入力し、振込手数料の負担や源泉徴収税を控除する場合は差引支払額を明示します。
プレビューを確認してPDFを発行する
支払金額や振込先に誤りがないかプレビューで確認し、PDFを出力して取引先へ送付します。
一次情報の出典
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