督促状の書き方ガイド
未収金回収・遅延損害金・内容証明の進め方
この記事の要点
- 督促状は「どの請求が未払いか」を一意に特定できることが最も重要
- 段階的にトーンを上げる。最終催告は内容証明郵便で送り記録を残す
- 裁判所の「支払督促」とは別物。督促状そのものに強制力はない
1. 督促状と催告書の違い
督促状は、支払期日を過ぎても入金が確認できない未収金について、支払いを促す書面です。メールのリマインドと違い、後の交渉や法的手続きの証跡として残ります。
回収の原則は「早く・段階的に・記録を残しながら」です。督促状はこのうち記録を残すフェーズの中心になります。
| 書面 | 位置づけ | 送付手段の例 |
|---|---|---|
| 督促状 | 支払いを促す通常の通知。1次・2次と複数回出すことが多い | メール添付・普通郵便・FAX |
| 催告書 | より強い支払いの意思表示。最終段階で法的手続きを予告することも | 内容証明郵便(配達証明付き) |
本ガイドは実務フローの整理であり、個別の法的助言ではありません。金額が大きい場合や相手の対応が悪質な場合は、早めに弁護士や公的な相談窓口へ相談してください。
2. 段階別の進め方
1通目から法的手続きをちらつかせると、単なる処理の遅れだった場合に取引関係を損ねます。逆に柔らかい連絡を繰り返すだけでは時効が近づきます。
| 段階 | タイミングの目安 | 書面とトーン |
|---|---|---|
| 1次督促 | 期日超過後 数日〜1週間 | 督促状(柔らかめ)。「行き違いでしたら申し訳ありません」を添える |
| 2次督促 | 1次から1〜2週間後 | 督促状(再度)。新たな支払期限を明示し、遅延損害金に触れる |
| 最終催告 | 2次から1〜2週間後 | 催告書。内容証明郵便で送付し、法的手続きの予告を記載 |
| 法的手続き | 最終催告の期限経過後 | 支払督促・少額訴訟・通常訴訟など。専門家への相談を検討 |
各段階で「いつ・何を・どの手段で」送るかをあらかじめ決めておくと、督促のたびに判断を迫られず、担当者による対応のばらつきも防げます。
3. どこに何を書くか
最重要なのは、どの請求が未払いかを一意に特定できることです。相手の経理が自社の支払台帳とすぐ突き合わせられる状態にします。
- 1
書類名
「督促状」または「催告書」。最終段階では書類名自体を改めます。
- 2
番号・発行日・督促区分
「2次督促」など何回目かを示すと、相手も自社も経緯を把握できます。
- 3
宛先(督促先)
会社名・部署・担当者名。支払処理の窓口へ届く宛名にします。
- 4
発行元(請求元)
自社名・連絡先。問い合わせ先が無いと相手は確認のしようがありません。
- 5
本文
未入金の事実と、新たな支払期限を明示します。段階に応じて文体を変えます。
- 6
元請求書番号・当初の支払期日
どの請求かを特定する要の情報。発行日と延滞日数も併記します。
- 7
未収元本と遅延損害金
元本と損害金を分けて示し、合計請求額を明確にします。
- 8
振込先
再度明記します。口座が分からないことが遅延の理由になる場合もあります。
4. 遅延損害金の計算
遅延損害金は「未収元本 × 年利率 × 延滞日数 ÷ 365」で計算します。利率は契約で定めた約定利率を使い、定めがなければ法定利率によります。
- 未収元本
- 264,000円
- 年利率
- 14.6%
- 延滞日数
- 45日
- 遅延損害金(264,000 × 14.6% × 45 ÷ 365)
- 4,752円
- ご請求金額(合計)
- 268,752円
約定利率を主張するには、契約書や取引基本契約に利率の定めがあることが前提です。定めが無いまま高い利率を請求すると、争いになります。
1次督促の段階では損害金に触れず、2次以降で明示するのが実務的です。最初から請求すると、単なる処理漏れだった相手との関係を損ねます。
5. 送付と記録の残し方
1次・2次はメール添付や普通郵便で足ります。最終催告は内容証明郵便(配達証明付き)を使い、送った内容と到達の事実を第三者的に残します。
記録するのは、送付日・送付手段・相手の反応の3点です。「電話で〇月〇日に支払うと回答」といったやり取りも日付とともに残します。
入金の期日管理や滞留の把握は支払期限の設定と入金管理にまとめています。督促の内容が固まったら、そのまま督促状作成フォームで作成できます。段階を「最終催告」にすると書類名が催告書へ切り替わります。
一次情報の出典
参考情報と更新方針
最終確認日: 2026-06-28
法定利率は変動し、時効の起算点・更新の要件は個別事情で異なります。督促状は文面テンプレートの提供にとどまり法的助言ではないため、金額が大きい場合や時効が近い場合は弁護士等にご相談ください。
参考にしている公的情報
- e-Gov法令検索 民法 - 法定利率・遅延損害金・時効の完成猶予(150条)等の原文
- e-Gov法令検索 - 法令の原文確認に利用できる公的データベース
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