検査成績書の書き方ガイド
検収書との違い・判定の書き分け・合格率の集計
この記事の要点
- 検査成績書は検査した側が出す報告。受け入れ側が出す検収書とは向きが逆
- 判定の前に「何を基準に測ったか」を書く。基準のない合格は根拠がない
- 抜取検査なら抜取数を必ず示す。全数と読まれると後の責任範囲が変わる
1. 検査成績書とは何か
検査成績書は、納めた品物に対して行った検査の内容と結果を、検査した側が相手へ報告する書類です。検査成績表、出荷検査成績書とも呼ばれます。
製造業の部品納入で最もよく使われますが、施工の完了検査、機器の据付後の動作確認、食品の品質検査でも同じ形の書類が交わされます。
目的は「納めたものが約束した仕様を満たしている」ことの証拠を残すことです。後から不具合が出たとき、どの検査を通したのかが分かれば、原因の切り分けが早くなります。
2. 検収書・受領書との違い
納品まわりには似た書類が並びます。3 つの違いは「誰が出すか」と「何を示すか」で分かれます。
| 書類 | 発行する側 | 示すこと |
|---|---|---|
| 検査成績書 | 納める側 | 出荷前に行った検査の内容と結果 |
| 検収書 | 受け入れた側 | 受入検査に合格し、支払対象として認めたこと |
| 受領書 | 受け入れた側 | 物が届いたこと(品質の判断は含まない) |
流れとしては、納品書と検査成績書を一緒に送り、相手が受入検査をして検収書を返す、という順になります。検収書が返れば請求へ進めます。
この順序には法律上の背景もあります。商人間の売買では、買主は目的物を受け取ったら遅滞なく検査し、不適合を見つけたら直ちに通知する義務があるとされています。
検査成績書は、その受入検査を相手が短時間で終えられるようにする資料でもあります。何をどう測ったかが分かれば、相手は同じ項目を確認するだけで済みます。
受け入れ側の書類の書き方は検収書のガイドにまとめています。
3. どこに何を書くか
法定の様式はありません。取引先の指定様式があるならそれに従いますが、無い場合に落としてはいけない項目は決まっています。実際の出力例で確認します。
- 1
書類名
「検査成績書」と明示します。出荷検査であることを示すなら表題に含めます。
- 2
発行日・番号
番号は再発行や訂正版が出たときに版を区別する手がかりになります。
- 3
検査日・参照番号・担当者
検査日は発行日と分けます。参照する納品書番号があると相手が対応付けられます。
- 4
発行元(検査実施者)
検査を実施した会社です。社内の品質保証部門まで書くと問い合わせ先が明確になります。
- 5
宛先(報告先)
受け入れ側の担当部署まで書きます。購買と品質で窓口が分かれる相手では特に効きます。
- 6
品名と検査項目
検査数・合格数・不良数・結果・基準を 1 行にまとめます。品目ごとに行を分けます。
- 7
集計
検査総数・合格数・不良数から合格率と不良率を出します。丸め方を揃えます。
- 8
総合判定
この書類の結論です。行ごとの結果と矛盾しない値にします。
4. 検査基準と抜取の書き方
判定より先に書くべきなのは基準です。「合格」とだけ書かれた書類は、何と比べて合格なのかが分からず、証拠として弱くなります。
基準は測り方まで含めて具体的に書きます。「寸法検査(直径 8±0.01mm)」のように、対象の項目と許容範囲を並べるのが基本形です。
社内規格の番号を持っているなら、その番号を添えると相手の品質部門が照会できます。図面番号や版数を書く運用も同じ目的です。
抜取の方式が取引先の指定(受入検査の規格など)で決まっている場合は、その方式名も書き添えます。方式が違えば同じ抜取数でも意味が変わるためです。
5. 判定の書き分け
判定は 3 通りに分かれます。曖昧な中間表現を作らず、どれに当たるかを決めて書いてください。
| 判定 | 当てはまる状態 | 備考に書くこと |
|---|---|---|
| 合格 | すべての項目が基準内 | 特記事項があれば簡潔に |
| 条件付き合格 | 基準を外れたが使用に支障がないと合意した | 合意した相手・条件・対象数量 |
| 不合格 | 基準を外れ、そのままでは使えない | 再検査・交換・返品のいずれで進めるか |
条件付き合格は、相手の合意があって初めて成立します。発行側が単独で「条件付き」と書いて送るのは、判断を押し付けているのと同じです。
不合格を出す場合は、次に何をするかまで書きます。書類が届いてから相手が電話で確認しなければならない状態にすると、対応がその分だけ遅れます。
6. 合格率・不良率の集計
複数の品目を 1 枚にまとめる場合、行ごとの結果とは別に全体の合格率を出します。品質の推移を月ごとに比べるときの基準になる数字です。
- 検査総数
- 380
- 合格数
- 379
- 不良数
- 1
- 合格率 = 379 ÷ 380
- 99.7%
- 不良率 = 1 ÷ 380
- 0.3%
丸め方は社内で固定してください。小数第 1 位までにするか第 2 位までにするかが月によって変わると、推移のグラフが実態と合わなくなります。
抜取検査の行が混ざる場合、検査総数は抜取数の合計になります。出荷数の合計ではないので、両方を並べたいときは備考へ書き分けてください。
7. 発行から検収までの流れ
検査成績書は納品の一部として動きます。順序を決めておくと、検収が遅れて請求が翌月へずれる事故を防げます。
出荷検査
基準に沿って測定し、結果を記録する
成績書の発行
納品書と一緒に送る
受入検査
相手が自社の基準で確認する
検収
検収書が返り、支払対象が確定する
請求
検収済みの数量で請求書を出す
2 番目で納品書と別便にすると、受入検査が始まりません。同じ封筒か同じメールにまとめ、納品書の番号を成績書側にも書いておくのが確実です。
検査成績書は検査成績書の作成フォームから作成できます。検査数と合格数を入れると合格率・不良率が自動で集計され、そのまま PDF として出力できます。
一次情報の出典
参考情報と更新方針
最終確認日: 2026-09-11
受入検査の期限や不適合を通知すべき期間は、契約の定めと適用される法律(商法・民法)で変わります。取引条件を決める前に契約書の検査条項をご確認ください。
参考にしている公的情報
- e-Gov法令検索 - 法令の原文確認に利用できる公的データベース
- e-Gov法令検索 民法 - 法定利率・遅延損害金・時効の完成猶予(150条)等の原文
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