発注書の書き方ガイド
納期・支払条件・法的効力を解説
この記事の要点
- 発注書は民法上の「申込み」。契約は受注者が承諾した時点で成立する
- 下請法の適用がある取引では、発注書が3条書面となり12項目の記載義務を負う
- 下請法の支払期日は受領日から60日以内。翌々月末払いは違反になり得る
1. 発注書の役割と法的効力
発注書は、商品の購入やサービスの提供を依頼するとき、発注者が受注者へ発行する書類です。英語では Purchase Order(PO)と呼ばれます。
見積書を受け取ったあと「この条件で正式に注文します」という意思表示として出します。取引の正式な開始を告げる位置づけです。
法的には民法上の「申込み」にあたります。契約は申込みと承諾で成立するため、発注書を出しただけでは成立しません。受注者が注文請書を返すか、納品を始めた時点で成立します。
受注者が異議を述べずに作業を開始した場合、黙示の承諾があったとみなされることもあります。発注書は契約成立の重要な証拠になります。
「発注書」と「注文書」は実務上ほぼ同じ意味で、法律上の区別もありません。製造業やITは発注書、小売・卸売は注文書を使う傾向があります。
2. どこに何を書くか
法定の書式はありません。ただし下請法の適用がある取引では記載が義務になる項目があります。実際の出力例で位置ごとに確認します。
- 1
書類名
「発注書」または「注文書」と明記します。社内で表記を統一してください。
- 2
発注書番号
「PO-2026-001」のような一意の番号。注文請書の参照番号にもなります。
- 3
参照見積書番号
どの見積もりに対する発注かを示します。金額の突合が一発で済みます。
- 4
発注日・希望納期
納期は「2026年6月27日」と日付で指定します。「なるべく早く」は避けます。
- 5
発注先
受注者の正式名称・住所・担当者名。法人は「御中」、個人は「様」。
- 6
発注元と登録番号
自社の名称・住所・連絡先・担当者名。角印を添えるのが一般的です。
- 7
納品場所・支払条件
納品先が自社所在地と違う場合は必須。支払方法と期日もここで示します。
- 8
明細
品名・数量・単位・単価・金額。消費税額も税率ごとに区分します。
3. 下請法と発注書
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、発注側による受注側への不当な扱いを防ぐ法律です。適用の有無は資本金の規模で決まります。
| 委託の種類 | 親事業者の資本金 | 下請事業者の資本金 |
|---|---|---|
| 物品の製造・修理委託 | 3億円超 | 3億円以下 |
| 物品の製造・修理委託 | 1,000万円超 3億円以下 | 1,000万円以下 |
| 情報成果物の作成・役務提供委託 | 5,000万円超 | 5,000万円以下 |
| 情報成果物の作成・役務提供委託 | 1,000万円超 5,000万円以下 | 1,000万円以下 |
フリーランスや個人事業主は資本金を持たないため、資本金1,000万円超の企業から業務委託を受ける場合は保護の対象になります。
下請法第3条は、発注の都度、取引条件を書いた書面(3条書面)を直ちに交付する義務を定めています。実務上はこれが発注書にあたり、次の12項目が必要です。
- 親事業者および下請事業者の名称
- 製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託の別
- 給付の内容(委託内容が分かるよう明確に)
- 給付を受領する期日(納期)
- 給付を受領する場所
- 検査をする場合は、検査を完了する期日
- 下請代金の額(算定方法での記載も可)
- 下請代金の支払期日
- 手形を交付する場合は、手形の金額および満期
- 一括決済方式で支払う場合は、金融機関名等
- 電子記録債権で支払う場合は、額および満期日
- 原材料等を有償支給する場合は、品名・数量・対価・引渡し期日等
下請法第5条により、親事業者は3条書面の写しと取引記録を2年間保存します。違反すると公正取引委員会の勧告や罰金の対象になります。
4. 支払条件の書き方
支払期日は「月末締め翌月末払い」のように、具体的な日付か算定方法で書きます。曖昧な表記は入金トラブルの入口になります。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 銀行振込 | 最も一般的。銀行名・支店名・種別・番号・名義を漏れなく記載する |
| 手形 | 支払いを一定期間猶予する。割引料の負担に注意が必要 |
| 電子記録債権(でんさい) | 電子的に管理される債権による支払い |
| 相殺 | 互いに債権があるとき、差額のみを精算する |
振込手数料の負担者も発注書へ明記します。民法上は支払う側の負担が原則ですが、商慣習で受取側負担とすることもあります。
5. 注文請書との関係
見積書
受注者が条件を提示
発注書
発注者の申込み
注文請書
受注者の承諾で契約成立
納品書
引渡しの記録
請求書
代金の請求
発注書が申込み、注文請書が承諾です。両者が揃って初めて契約の成立が書面で裏づけられます。番号で相互参照させておくと後の照合が容易です。
注文請書の書き方や収入印紙の要否は注文請書のガイドにまとめています。発注内容が固まったら、そのまま発注書作成フォームで作成できます。
発注書・注文請書で契約が成立したら、その締結や保管を電子化する選択肢もあります。電子契約サービスの月額と無料枠は電子契約サービス比較(姉妹サイト・標)で比較しています。
対応する契約類型や印紙・法対応はサービスによって異なります。導入前に各社の条件をご確認ください。
一次情報の出典
参考情報と更新方針
EchoInvoiceはバナー広告なし・完全無料で運営しています。 法人・事業者向けのテンプレート・受託のご相談も承っています。
続けて読む
